コラム
プロネクサスベトナム現地レポート(2020年10月 VOL.8)
プロネクサスベトナムが、ベトナム現地情報をお伝えいたします。
今回のテーマは、【ベトナムにおけるジャパンブランド】についてです。今回は、「ワイン事情」についてご紹介します。
【外国産のワインの価格について】
ホーチミン市内にある異なる2店舗のスーパーにて実地調査を行い、外国産ワインの価格動向について調査を行ったところ、以下のように考えられます。
- ウイスキー・日本酒等のほかの酒類と比べ、安価に購入が可能であること
- 価格が安いチリ産のワインなどが多く取り扱われていること
- 現状、*日本産のワインを取り扱っているスーパーは少ないと思われること
*本コラムでは、「日本ワイン」と「(日本)国産ワイン」を区別していない。
今回調査を行った、日本食の取り扱いもある大衆向けのスーパー【Big C】では、安価な外国産のワインが多く陳列されており、100,000 VND(約500円相当)前後で購入可能なものばかりでした。一方で、ホーチミン市内の髙島屋にある、高級スーパー【ANNAM GOURMET MARKET】においても外国産のワインが数多く取り扱われておりましたが、その価格帯は大衆向けのスーパーのおよそ10倍にあたる1,000,000 VND (約5,000円相当)の銘柄ほとんどでした。
筆者撮影
【ベトナムのワイン市場について】
大衆向けのスーパーには、ベトナム庶民にも手が出る安価な価格帯の外国産ワインが多く流通してることから、日本産のワインにとって、ベトナムのワイン市場はたくさんの競合が存在するマーケットであると考えられます。
【ベトナムワインについて】
外国産のワインがお手頃な価格でたくさん流通していることに加え、国産のワインであるベトナムワインの存在も、日本産のワインにとって競合の一つであることは言うまでもありません。ベトナムワインの代表格ともいえるダラットワイン(ダラットはベトナム中部に位置しておりベトナムの軽井沢と呼ばれることもある。ベトナムでは珍しく比較的冷涼で降水量が少ない地域です)は、大衆向けのスーパーで100,000 VND(約500円相当)以下で販売されており、価格面で大きなアドバンテージを有しております。
Big C店舗に陳列されたベトナムワイン(ダラットワイン)
筆者撮影
【酒類卸売業者へのヒアリング】
以前のコラムにも登場しました、ベトナム大手の酒類卸売業者の担当者へのヒアリングによれば、日本産のワインの取扱いは、日本酒の取扱数に比べ、少ないのが現状とのことです。
同社によれば、新規の取扱いは歓迎しているが販売実績が出にくいこともあり、取扱条件は厳しい状況であるとのことでした。
親日で知られるベトナムでは日本食が庶民にも広く浸透し、これが追い風となって日本食文化の象徴的な産品の一つである日本酒の輸出が増えるなか、日本産のワインにおいては、チリをはじめとした外国産のワインやベトナムワインなどの「低価格路線の競合」が多数存在する市場となっているため、苦戦を強いられている状況が続いています。
日本産のワインがベトナムのワイン市場で一定のシェアを獲得するためには、安価なベトナムワイン、他の外国産のワインと一線を画すブランドイメージを構築し「価値訴求」を行う必要性があるものと考えます。しかしながら現状のベトナムのワイン市場では、前提条件として「価格訴求力」が求められる市場であるため、当地での輸出拡大を目指す日本の醸造所にとっては、難しい市場のように感じております。
以上、プロネクサスベトナムが、ベトナムにおけるワイン事情についてご紹介致しました。
次回は「日本人の知らないベトナム人の習慣」をお伝えしようと思います。
プロネクサスベトナム現地レポート(2020年10月 VOL.8)
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