コラム
プロネクサスベトナム現地レポート(2021年11月 VOL.28)
プロネクサスベトナムが、2021年10月のベトナム現地情報をお伝えいたします。
今回のテーマは、ベトナムへの海外からの直接投資(Foreign Direct Investment以下、FDI)の動向についてです。
2021年ワクチンが普及してきたものの全世界で新型コロナウイルスの影響は未だに大きく、前年同時期と比べると減少傾向が続いております。
【FDI動向の概要(2021年1月1日~10月20日)】*10月の数値は20日時点の値
1.日本の対越投資動向
- 日本の2021年1月1日から10月20日までのFDI投資額は約33億8,479万USドル(*2020年同期間:約17億8,255万USドル、189.9%)
- 日本の2021年1月1日から10月20日までのFDI投資件数は、425件(*2020年同期間:813件、52.3%)
- 証券投資件数を除いた日本の2021年1月1日から10月20日までのFDI投資件数は、255件(*2020年同期間:340件、75%)
*下グラフ参照
*証券投資を除くFDI投資件数の統計データは、会社設立や増資等の日系企業の直接的な進出動向の判断指標の一つとなる数値です。
2.世界の対越投資動向
2021年10月の値ですが、海外からのベトナムへの直接投資は、97の国と地域から投資が行われており、投資金額・投資件数の上位5か国は以下のとおりです。
<主な大型プロジェクト>
- 火力発電所建設プロジェクトで約13億USドル(日本)2021/1
- 発電所建設プロジェクトで約31億USドル(シンガポール)2021/3
- Far Eastern Polytex工場に約6億USドル追加投資(台湾)2021/5
- クラフト紙の工場プロジェクトで約6億USドル(日本)2021/7
- LG電子ハイフォン工場に約14億USドル追加投資(韓国)2021/8
- 上記の大型プロジェクトなどがFDI投資金額全体を下支えしており、全世界からのベトナムへの投資金額は、対前年同時期と比較し61.1%程度で推移
*引用元:ベトナム外国投資庁
<10月の投資状況>
2021年10月までの外国からベトナムへのFDI投資をみてみると、コロナウイルスの影響で金額、件数ともに伸び悩んでいる状況にあります(対前年比 約61.1%程度)。
外国からベトナムへの新規プロジェクトへの投資は1,375件(対前年比65.5%程度)、金額は130億USドル(対前年比111.5%)。同様に外国からベトナムへの既存プロジェクトに係る増資に関しては、776件行われ(対前年比85.6%程度)、金額は70億9,000万USドル(対前年比124.1%)に達しました。
<ベトナムの都市鉄道プロジェクトについて>
ベトナムでは現在20近くの都市鉄道プロジェクトが計画されています。急速な経済発展に伴い、ホーチミンやハノイなどの道路混雑が問題とされており、ベトナム政府は都市鉄道プロジェクトを立ち上げました。しかし、政府の資金未払いにより、どのプロジェクトも数年間の先延ばしとなっています。
当初のホーチミン市の計画では2018年までに完成予定でしたが、日本が43.7兆ドン(19億2000万ドル)の資金提供をした1号線の完成は2023年の後半から2024年と予想されています。建設を行っているのは住友商事、三井住友銀行、清水、前田ですが、多くの費用は日本政府が負担しています。しかし建設が始まると当初予定していた金額より3倍のコストが掛かり、ベトナム政府の未払いが膨らみました。2018年の未払い請求額は1億ドルを超え、更に建設が遅れることとなりました。1号線の建設自体は90%完了しており、車両の納入も日立が2020年に完了しておりますが、一般公開までの道のりは長そうです。
ハノイの2路線の1つは中国が資金提供をしており、2015年の完成予定が2023年以降に先延ばしとなっています。こちらも同様に未払い金での問題に直面しています。中国からの資金提供は現在約9億ドルに上っていますが、プロジェクト自体は10回も延長されています。
遅れの理由として政府の支払い権限が「与党共産党」、「中央政府」、「市政府」で明確されていないため政府が関わるプロジェクトには時間がかかるようです。
ベトナム都市の混雑悪化を緩和するためにも都市鉄道プロジェクトの開発が進むことを願うばかりです。
*引用元: NIKKEI ASIA. “Vietnam urban rail projects fall years late as payments lag”.
https://asia.nikkei.com/Business/Transportation/Vietnam-urban-rail-projects-fall-years-late-as-payments-lag,(参照2021/11/02)
以上、プロネクサスベトナムが海外からの投資動向について、お知らせ致しました。
次回は、【ベトナムへの海外からの直接投資(Foreign Direct Investment以下、FDI)11月の動向について】をお伝え致します。
プロネクサスベトナム現地レポート(2021年11月 VOL.28)
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