ベトナムの事業形態と法人の設立手続きについて
現地法人設立の場合に選択されやすい進出形態(有限会社は日本人投資家の会社設立登録の8割以上を占める)
現地法人
ベトナムへの進出方法として一般的な形態です。一部の外資規制業種を除いて、独資での会社設立が可能です。
会社形態としては、「有限会社」「株式会社」などがあります。
駐在員事務所
会社設立(現地法人)と比較して、設立が容易な進出形態です。但し、営業活動が認められておりません。
認められる活動範囲は、①本社との連絡業務 ②情報収集・市場調査業務 ③ベトナムのパートナーとの事業取引ならびに学術・技術上の協力関係の維持・推進業務の実施が認められています。
支店
現地法人と同様に営業活動が可能です。但し、現在のところ限られた業種にしか支店形態での設立は認められておりません。
(従来までは、銀行業にしか認められていませんでしたが、最近は法律事務所などの一部の事業で支店形態での設立が認められるようになりましたが、以前として多くの業態で支店形態は認められておりません。)
項目 | 有限会社 | 株式会社 | ||
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1人有限会社 | 2人以上有限会社 | |||
責任の形態 | 有限責任 | 有限責任 | 有限責任 | |
出資者 | 1名 | 2~50名 | 3名以上 | |
最高意思決定 機関 |
会長もしくは社員総会 | 社員総会 | 株主総会 | |
管理組織 | 【出資者が組織の場合】 会長、社長 *監査役は任意 【出資者が個人の場合】 会長、社長 *会長の兼務可 |
社員総会、社員総会の会長 (社長の兼務可)、社長 *監査役会の設置は任意 |
株主総会、取締役会、社長、監査役会 または、 株主総会、取締役会、社長 |
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総会 決議 |
定足数 | 2/3以上の社員の出席 | 出資総額の65%以上の出資者 |
議決権付株式の51%以上の株主 |
普通 決議 |
出席者の過半数 | 出席者の持分総額の65%以上 *定款で、上記以外の割合の 設定が可能 |
出席者の議決票総数の51%以上 *定款で、上記以外の割合の設定が可能 |
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特別 決議 |
出席者の3/4以上の賛成票 | 出席者の持分総額の75%以上 *定款で、上記以外の割合の 設定が可能 |
出席者の議決票総数の65%以上 *定款で、上記以外の割合の設定が可能 |
会社設立(ベトナム現地法人設立)のスケジュール
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土地や事務所の仮契約
申請書類の準備(公証・越語翻訳等含む)に3週間~1ヵ月必要
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投資登録証明書(IRC)取得申請
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IRC取得
申請書受理後、15営業日以内に発給
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企業登録証明書(ERC)取得申請
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ERC取得
申請書受理後、3営業日以内に発給
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国家企業登録情報サイトへERC記載内容掲載
ERC発行後30日以内に掲載
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会社印鑑作成
①企業名、企業コード情報を入れる必要あり
②形式、数量および1以外の内容について企業が決定可能 -
会社印鑑の使用通知提出
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国家企業登録情報サイトへの印鑑サンプル掲載通知書取得
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銀行口座開設
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法人設立(登記)完了 【約4ヶ月】
会社設立(ベトナム現地法人設立)の規制について
資本金の規制について
ベトナムでは、一部の外資規制業種(銀行・保険会社・不動産会社など)を除き、最低資本金の規制はありません。しかしながら、事業を運営するうえで資本が過少であると見做されてしまった場合、投資局への登記が承認されない可能性もあります。
したがって、ベトナムでの会社設立(法人設立)を検討する際には事前の情報収集をおすすめいたします。
企業の役員に関する規制について
法定代表者を1名以上(複数選任することも可能)選び、その中の少なくとも1名がベトナムに居住する義務があります。また、ベトナムに居住する法定代表者が30日以上ベトナムを離れる際には、書面により権限をほかのベトナム居住者に委任する必要があります。
従業員に関する規制について
ベトナム人の雇用義務はありませんので、日本人だけでも法人設立が可能です。なお、ベトナムで従業員を雇用する場合には、ベトナムの最低賃金、従業員の社会保障料の納付、労働関連の法令などに十分に留意する必要があります。
ベトナムで駐在員事務所設立
現地法人の設立と比較して、手続きが容易かつ短期間・低コスト行うことが可能です。但し、営業活動は認められておりません。駐在員事務所が認められている活動範囲は、①本社との連絡業務②情報収集・市場調査業務③ベトナム側のパートナーとの契約内容の監督や事業提携といった活動のみが認められています。
また、駐在員事務所の活動期間は5年と定められておりますが、延長することが可能です。